フェルデンクライス・メソッド
フェルデンクライス・メソッドは、からだにダイレクトに働きかける教育法です。
人がその発育の過程で「動き」から自己を発見し脳を発達させて多くを学んできた
ように、自分のからだの様々な動きを通して使い方のクセや、無意識に作り上げた
ルールやパターン(又は当たり前だと思っていたこと)への気づきを促します。
それによって変化が起こり、新たな選択肢を得ることで柔軟性が増して、心身が
より自由になります。
創始者のモーシェ・フェルデンクライス(1904~1984)は14才で
生まれ故郷を離れ、イスラエルの建国に単身参加。
のちにフランスのソルボンヌ大学で物理学の博士号を取得し、
ジュリオ・キュリーの研究所にも加わった科学者。
サッカーで負った致命的な膝の怪我を独力で治したのを契機に身体性の領域に
深く関わり、障害者のリハビリテーションにおいて数々の奇跡的な治療をおさめ、
後に独自のメソッドを確立して多くの指導者を育てた。
ヨーロッパ初の黒帯保持者で、フランス柔道連盟の基礎を築いた人物でもある。
彼の求めたものは以下の言葉に端的です;
『不可能を可能に 可能を容易に 容易を優雅に』
(モーシェ・フェルデンクライス)
フェルデンクライス・メソッドのレッスン形態には、以下の2つがあります;
★PCM(ペーセーエム=「動きを通しての気づき」のフランス語略。英語ではATM)
教師が言葉によって指示する動きを、多くは床に仰向けの姿勢で行なう
グループレッスン。
動きを通して、その質やより良いからだの使い方に生徒自身が気づき統合
するように促す。
★FI=(エフ・アイ=「機能の統合」の略)
グループレッスンでは生徒自身が行う動きを、教師の手による誘導でつくる
個人レッスン。専用テーブルなどを使うことが多い。
■ ドミノ・ノート ■
日本では「脳神経に働きかける」とか「物理学者が創った」ということから、
西洋的で科学的なメソッドとして捉えられていますが、パリではモーシェが
柔道家として本まで書いていることから日本的なメソッドと捉えている人が
おり、「なんで本場から来るの?」と不思議がられました。
実際、日本人には何でもない動き(例えば正座から膝立ちになる)もレッスンに
含まれていて、その後にクラスメイト達の動きが柔らかくなって驚いたことも
ありました。
日常にない(しない)動きができるようになると、動きの質が本当に変わります。
そのような経験をするためか、フェルデンクライス・メソッドを始めたのを
機に、合気道などの武術の愛好家になる人が 多いようです。